灸治療の効果

 

灸の作用は

①温熱作用(乾熱・湿熱)

②皮膚から吸収される艾成分(ミネラル分等)

③施灸後の皮膚の組織再生・修復作用(透熱灸)

④艾の芳香作用(チネオール等)

以上の4点が挙げられますが、闇雲にどこの皮膚を刺激しても灸の治効が均等に得られるかといえばそうではなく、やはり適切な「ツボ」を選んでこそ、最大限のお灸の効果を実感できるのです。

 

例えば鼻詰まりに足三里穴へ施灸するよりも、上星穴を選んだ方が速効性があります。つまり、体表面に現れるツボを正確に取り、適切な灸の刺激量で施術する事が出来れば、灸による治効を100%に出来るのです。これは深谷灸法の基本十項の中でも触れています。

 

深谷灸法で扱う「ツボ」は「圧痛・硬結」を感じる場所、つまり「凝り」の部分ですが、「凝り」とは筋肉の緊張が高まって血流が悪くなっている所で、川の流れに例えると「よどみ」。いろいろなものが溜まっていく場所です。この場所をお灸の温熱刺激によって流れを良くする事で、身体で起こる代謝の巡りによどみがなくなるのです。

 

施灸による効果のまとめ

 

●鎮痛作用→体表面の感覚神経を刺激して中枢神経を介して痛みを抑制する脳の回路を刺激して鎮痛効果を発揮します

 

●血流増加作用→血管透過性を更新させ血管が拡張して発痛物質の吸収・代謝が高まって鎮痛効果や血行促進作用が高まります

 

●生体防御作用(ヒートショックプロテイン)→熱刺激による施灸部位の組織損傷の過程で細胞修復機能が活性化して免疫機能が高まります

 

●抗酸化作用→艾に含まれるポリフェノールが活性酸素を抑制し、細胞膜の酸化による老化や動脈硬化等を予防します

 

●抗疲労効果→エネルギー代謝を高めて疲労物質の代謝を高めます

 

●自律神経調整作用→体表から内臓への神経を介した刺激により内臓機能が改善される

●抗炎症作用

 

 

【参考文献】

『はりきゅう理論』医道の日本社

『ここまでわかった灸の科学-基礎から臨床へのフィードバック-』第48回全日本鍼灸学会学術大会

『灸研究の現在』第52回全日本鍼灸学会学術大会