お灸は古くは有痕灸(火傷の痕が残るお灸療法)が主流で、特に最初の1壮目の「皮切り」は非常に熱さを感じるもので、「皮切りは女に見せる顔じゃなし」と江戸時代の川柳に読まれる程、熱いのは当たり前。その為、今でも良からぬ行動をした罰として「お灸をすえる」という言葉が残っています。
時代は身体を使う肉体労働主流からITや事務系等の仕事へと転換していき、インターネットの普及による情報の氾濫、人間関係の複雑化等で精神的な疲労を抱えている人が多くなっています。屈強な筋肉で体力のある肉体労働者に比べ、運動不足傾向の現代人は「昔に比べると熱さに弱く」なり、火傷を起こさせてその免疫反応を賦活する有痕灸よりも、リラックス出来るくらいの熱さでの気持ち良い刺激(無痕灸)を求めているのです。
身体の不調は大本をたどれば冷えと熱の不和。例えば頭をフル活動させている人は上半身ばかりに力が入り、相対的に下半身は冷えています。昨今流行りのくるぶし丈のスラッとしたパンツやズボンも、露出させている足首が冷える事で、腰が痛くなったり、肩が凝ってきます。
治療家が行うお灸療法の中には患部の「熱を取り去る」技法もありますが、お灸を愛する一般の方へは「凝りや冷え」に対するお灸療法をお勧めします。
お灸をする時に必要なのは灰皿・台座灸(円筒灸)・ライターのみです。
ポイントは灰皿に水を少量入れる事。花火をする時にバケツに水を汲んでおくのと同じ理由です。艾が燃焼中に熱さを感じて灰皿に捨ててもそのままだと燃え尽きるまでに煙がたくさん出ますが、水を浸しておく事ですぐに消火してくれます。
お灸の据え方、注意点に関しては薬局で購入された台座灸のパッケージかお近くの治療院の鍼灸師の先生にお問い合わせ下さい。なお、せんねん灸さんのHPに一般の方向けのページがありますので興味のある方はこちらまで。
なお、習慣として毎日お灸をすえる事は良い事ですが、ツボを正確に捉える事、施灸するツボの順番等で効果に違いが生まれます。イマイチ効果を実感出来ない方は信頼できる鍼灸師さんに相談して下さい。